MLBとNPB、テレビ画面の中の違い

パワーやスピードの違いってもしかすると……

MLBとNPBの双方のテレビ中継を見てると、やっぱり何か違う。メジャーは迫力が違うよなあ。やっぱりパワーとスピードが違うのか……とついつい思ってしまうのですが、それだけだろうか。実際、日本のプロ野球しか球場で見たことはないから、肌で実感はできないのですよ。

まあ、実際に投手の球速とか、MLBでは100マイル越え(約161㎞/h)がもう今はごろごろいる。チャップマンだけじゃ全然ない。長く投げる先発投手の中でもけっこういる。コール、デグローム、ビューラー、グラスナウ、短いイニングを目いっぱい投げるクローザーやセットアッパーではもっと多い。確かにテレビ画面でも、球道がピンと張った糸みたいに見えて、こりゃ速えわって感じる。(100マイルでも”ピンと張り感”がないとあまり感じないのですが)

対して日本のプロ野球では速球派投手のトップクラスがマックスで155~160㎞/hの範囲でしょうか。ここ一番ってところで投げる場合ですね。速球派でも先発だと普通に投げてるときも常時150㎞越えてる人はそうそういない。

しかし、たとえば同じ155㎞/hのボールでも、MLBの方が速く見える。これはなぜかなと考えると、そりゃまあスピン量の違いだとかそういう可能性もあるけれども、それよりテレビの中継画面の作り方も大きな理由ではないかと思うのですよ。

おそらくポイントはアングルとズーム率

まあ、画面の作り方も球場とテレビ局の違いでいろいろあるようですがね。同じ球場で同じテレビ局でも日によって多少違いはあるかもしれません。

しかし概ねの傾向として言えることは…

基本画面、センター後方からの投手と打者の対戦アングル

①MLBはNPBより高いアングルから見下ろす感じで撮られている。画面を平面的に見て言うと、投手が打者よりかなり下の位置取りになっている。投手の頭の高さが打者のベルトから膝あたりの位置ですが、NPBは両者の頭がほぼ同じか、頭一つぶん投手が下ってところかな)
②MLBはNPBよりも右寄りから撮られている。平面的に見て言うと、投手と打者の占める左右幅が狭い。つまり投手と打者が近い。どちらも投手後方のやや右側から撮っているのではあるが、MLBのほうがよりセンター中央から撮られているのですね。(MLBではセンターのど真ん中、投手の真後ろからってこともけっこうあります。①で高いアングルだから可能なんですね。NPBのように投手と打者が同じぐらいの高さで真後ろから撮ったら両者が重なって投球が見えない)
③MLBはNPBよりズーム率が低い。つまり選手が少し小さめに映る。

理屈で考えると、②では投手と打者の感覚が広く見える方が球道の距離が長いから同じ球速でも速く見えてるはずですが、でも、意外に逆に感じるのですよ、僕には。上から撮ってるからあまりボールの垂れが見えにくい”ビンと張り感”が強く感じるのだろうか。それに加えて、ボールが画面上を横に長く移動するより、タテにピュッと動く方が鋭い感じがするのではなかろうか。

しかし、同じ球速でも左投手の方が速球がより速く見えるのも日米双方の画面で感じるし、この理屈もどうなのか……。感覚の問題は難しい。

打球を追う画面

①MLBの方がNPBより高いところからのアングル。
②MLBの方がNPBより本塁後方寄りからのアングル。

これもあくまで概ねですが。で、打球処理する野手へズームしていく速度がMLBの方が幾分ゆるやか、かな。
MLBの方が球場全体の中での野手の位置を感じ取りやすい気がします。僕の感覚だと、こっちの方が臨場感がありますね。

まとめてざっくり言うと

MLBの画面はNPBより高いところから、ややズーム率が低い。投手のボールの速さや全体の臨場感を見せるのに優れているのではないでしょうか。ホームランのスタンドに入る感じも立体的に見える。違うかな。

蛇足ですが、昔々のNPBのテレビ中継、アナログでまだ白黒テレビだった頃なんてのはホームランがスタンドに入るところなんて、ボール自体はほとんど見えてなかったような気が……。外野手が追って行って、ボールが入ったと思しき場所の観客がざざっと動くのを見るだけ、ってな感じだったように記憶してます。

アナウンサーが「入りました」って言うし、外野手が見上げてるから、ああ、ホームランなんだなって感じ。

今はボールがスタンドに落ちるのがほぼ見えるもんね。たまにボールの背景(スタンドの壁面やら観客の服装やら)が白っぽいと見えないこともあるけど、リプレイで他の角度からの映像も流すから、どこらへんにどう入ったかというのは、ほぼわかる。白黒アナログ時代なんて、別アングルからの映像なんてまずなかったからなあ。

その昔の日本シリーズ、阪急・巨人戦での岡村捕手のブロックへの土井の足差し込みホームインのクロスプレイも、もっとすっきりした解決になってたかもしれない。あれ、岡村捕手の背中側からの映像しかないから、足がホームベースに触れたのが、ブロックによるタッチの前か後かわからないのですね。

翌日のスポーツ紙に出た土井の足がホームベースに届いている写真で、もう主審のセーフというジャッジは正しかったとされてしまったけど、あの写真でセーフかアウトかは言えないはず。岡村捕手はたいへん悔しかったことでしょう。実際、その後、投球を故意にしないで主審に当てるという危険行為に及んでしまう。んー、それはいかんかなあ。

技術の進歩は、少なくともこういう面では大変ありがたいもんです。

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